オタク腐女子のグダグダ日記
Posted by ハシバ - 2008.02.24,Sun
ライラの冒険・黄金の羅針盤〈上〉
ライラの冒険・黄金の羅針盤〈下〉
最近、読書するヒマさえなかったので、久々に本を買うにあたり、今度映画化されるという子供向けファンタジーでも読んでみるかー と手に取ったのがコレ。
作中の人間は一人にひとつずつ『ダイモン(Daemon)』と呼ばれる「もう一人の自分」を持っていて、それぞれが違う動物の形をしているという話を訊いていたので、別人格スキーとして興味を引かれたのも一因。(ダイモンは必ず、その人間とは逆の性別になるというのも惹かれた理由)
いやしかし、『子供向け』ファンタジーだと思って、甘く見てました。
久しぶりに、読書にのめり込む感覚を思い出しました。面白い。いや、『面白い』というのとは違うのですが、とにかく、心がグングンと揺さぶられました。
なるべくネタバレはしないつもりですが、長くなりそうなので下記の『続きを読む』で。
↓
ライラの冒険・黄金の羅針盤〈下〉
最近、読書するヒマさえなかったので、久々に本を買うにあたり、今度映画化されるという子供向けファンタジーでも読んでみるかー と手に取ったのがコレ。
作中の人間は一人にひとつずつ『ダイモン(Daemon)』と呼ばれる「もう一人の自分」を持っていて、それぞれが違う動物の形をしているという話を訊いていたので、別人格スキーとして興味を引かれたのも一因。(ダイモンは必ず、その人間とは逆の性別になるというのも惹かれた理由)
いやしかし、『子供向け』ファンタジーだと思って、甘く見てました。
久しぶりに、読書にのめり込む感覚を思い出しました。面白い。いや、『面白い』というのとは違うのですが、とにかく、心がグングンと揺さぶられました。
なるべくネタバレはしないつもりですが、長くなりそうなので下記の『続きを読む』で。
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この物語は、お転婆娘であるライラが大きな陰謀に巻き込まれていくことで展開していきます。その陰謀についてはネタバレに繋がるので割愛するとして、個人的に感嘆した部分をいくつか。
ダイモンは、子供のうちはどんな姿に変わることも出来ます。実際、ライラのダイモンであるパンタライモンは、ネズミや蛾、オコジョやヤマネコ、アジサシやコウモリ、魚にさえ姿を変えてみせます。
人が大人になると、ダイモンはひとつの姿に落ち着き、死ぬまでその姿を変えることはなくなるのです。
ライラは言います。「あたしは、パンタライモンが永遠に姿をかえられたほうがいいわ。彼だってそう思っているはずよ」
しかし、航海中に彼女の親友となった熟練水夫のジェリーはこう言います。「姿がさだまるのは、いい点もある」
「自分がどんな人間だか、わかるのさ。たとえば、おれのベリサリアだがな。彼女はカモメだ。それはつまり、おれも一種のカモメだってことだ。おれは偉大でもなく、りっぱでもなく、美しくもないが、タフな人間だ。どこにいても生きのびられるし、かならず食いものや仲間を見つけられる。そういうことを知っているのは損なことじゃない。ダイモンの姿がさだまるとき、自分がどういう人間かわかるのさ」
まったく、この言葉には驚かされました。
よく出来た立派な人を「大人」と言うこともありますが、世の中、よく出来た大人ばかりではないのは事実です。私も大人ではありますが、「よく出来た大人」ではなく、だからと言って、もう既に「子供」ではないのです。では、大人と子供を分けるボーダーはどこにあるのか。
つまり、自分がどういうものであるのかを知っている人。既に自分の形が定まってしまっている人。そういう人を「大人」と呼ぶのだと、この言葉で気付かされました。
この他にも、作中には魅力的な言葉を話す「大人」がたくさん登場します。彼らの言葉はもしかしたら、この本を読む「子供」には届かないかもしれないと危惧する場面もしばしばです。
でも、そんな危惧も下記の一文が吹き飛ばしてくれるのです。
「若者のために心配するのは、年よりのつとめですよ」司書はいった。「そして、若者のつとめは、年よりの不安を笑いとばすことです」
印象的なシーンは、下巻でライラが出会う「トニー」という少年とのエピソード。彼と出会ったときのライラの恐怖、怒り、悲しみ、戸惑いは想像を絶するものがあります。
そしてまさかここで、上巻冒頭で描かれていたジョーダン学寮でのライラのイタズラのエピソードが活きてくるなんて! 他愛ない子供のイタズラとして描かれたある出来事が、この上ない慈愛のエピソードとして昇華した瞬間には、身震いがしました。
上記以外でも、平和なひと時を過ごしていた、ジョーダン学寮時代のライラのエピソードが見え隠れするときがあります。その度、今、波乱の冒険を続けている小さな少女にも過去があり、歴史のある人間なのだということが窺い知れるのです。
個人的に最も心が震えたのが、パンサービョルネ、イオレク・バーニソンとライラの関係でした。
イオレクはとても強く、粗野で、無愛想で、ライラにとってとても異質なものだったので、ライラは初めこそ彼に恐怖心を抱いてしましたが、次第に強い愛情を抱くようになります。
以下は、最も感動的な彼らの愛のシーン。(※ネタバレ)
ライラが気づくより先に、イオレク・バーニソンが彼女に気づいた。はずむように進んでくる音と、金属のガチャンガチャンという音がして、にわか雪の中、イオレク・バーニソンがライラのわきに立った。
「ああ、イオレク! あたし、たいへんなことをしちゃったの! あなたはイオファー・ラクニソンと戦わなくちゃならないの、準備もなしに――あなたは疲れてるし、おなかもへってるし、よろいは――」
「たいへんなことってなんだ?」
「イオファーにあなたが来るっていったの、真理計で読んだから。彼は人間と同じようにダイモンを持ちたくてたまらないの、ほんとに必死だわ。だから、あたしがあなたのダイモンだといってだましたの。あたしはあなたを捨てて彼のダイモンになるつもりだけど、そのためにはあなたと戦わなきゃならない、っていったの。なぜかって、さもなければ、イオレク、あなたは戦うどころか、近づく前に燃やされちゃうところだったのよ――」
「イオファー・ラクニソンをだましたのか?」
「ええ。あなたを追放された者としてすぐに殺すんじゃなくて、戦うように、彼に同意させたの。勝ったほうが王になるのよ。そうするしかなかったの、だって――」
「ライラ・ベラクアだって? いや。おまえはライラ・シルバータン(雄弁)だ。やつと戦うことこそ、おれの望みだ。来い、リトル・ダイモン」
ライラはぼろぼろのよろいをつけたイオレク・バーニソンを見た。ぜい肉が落ち、いかにも荒々しい。ライラの心は誇らしさではちきれそうになった。
どんな恋愛小説だって、こんなに心がときめいたシーンはなかったですよ! この後、イオファーとイオレクの対決のシーンでも、
イオファーはイオレクののどのあたりを歯でしっかりかんでいた。熱い血のしぶきが宙を飛んでいた。一滴はライラの毛皮の服にまでかかった。ライラは、愛のしるしであるかのようにそれに手を押しあてた。
なんていうくだりがあったりして、もう……!! これがときめかずにおれようか……!!
ライラの抱く強い怒り、悲しみ、戸惑い、誇らしさに共感しながら読み進めていたら、あっと言う間に読み終わってしまいました。
陰謀の残酷さ、強い者が見せる圧倒的な力、弱い者の抱く怯え、自分が自分であることの誇り――色んな感情が一気に押し寄せてくる話です。
『黄金の羅針盤』は3部作の1作目ということで、これから物語が展開していくようです。すぐに『神秘の短剣』、『琥珀の望遠鏡』も読み進めるつもりです。
ライラの冒険から目が離せない!
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