オタク腐女子のグダグダ日記
Posted by ハシバ - 2008.11.09,Sun
ゼノギ現代パロ小説。2002年1月初出。5KB。
時系列順その2。フェイの家にイドが引っ越してきました編。しかしこの小話、オチが消失してます。
おそらく途中までメモ帳で書いて、日記に上げたか何かした時に仕上げて、そのまま保存を忘れたようです…… どこを探してもオチの部分が見付かりません!!
そんなグダグダな出来ですが、よろしければ。
時系列順その2。フェイの家にイドが引っ越してきました編。しかしこの小話、オチが消失してます。
おそらく途中までメモ帳で書いて、日記に上げたか何かした時に仕上げて、そのまま保存を忘れたようです…… どこを探してもオチの部分が見付かりません!!
そんなグダグダな出来ですが、よろしければ。
晩秋に再会を果たしたフェイ達が、一緒にに住み始めたのは冬になってからだった。
イドが持ち込んだ物は、重厚な金属製の古いベッドと、ダンボール2箱ぶんの服と雑貨(何故か、ネジだけがぎっしりと入った小箱がある)。そして、叔父から貰ったという腕時計だけだった。
前日フェイが慌てて片付けた空き部屋にそれだけの物を運んだイドは、コートを着たまま居間のヒーターの前に陣取り、「暖かい」という事がとても貴重なものであるかのように、しみじみと呟いた。
「叔父貴の家は、冬向きじゃない」
イドは、叔父と一緒に暮らしていたという。イドに言わせるとその家は「ひどいボロ屋」で「人が住める所じゃない」のだそうだ。
コンロに掛けたケトルから湯気が上るのを見ながら、フェイはカップを2つ用意した。
この前、缶コーヒーを飲んでいたから、コーヒーは平気なはず。でも、砂糖やミルクは要るのだろうか。
フェイは、コーヒーはブラックで飲む。フェイの家は来客がほとんどない。だから、砂糖は料理に使うからあるけれど、コーヒーに入れるようなミルクはないのだ。
インスタントコーヒーをスプーンで掬いながら、居間に向かって訊いた。ヒーターの前から「ブラックで」という声が聞こえた。よかった、「コーヒーはブラックで」。1つ覚えた。
湯気の立ち上るカップを手渡すと、イドは少し眉根を寄せた。
「インスタント?」
フェイは無言で頷いた。イドは眉を寄せたままフェイの顔を見つめ、そして、眉を寄せたままカップに口を付けた。
「最低だ。豆、ねェのか?」
コーヒーはよく飲むけど、家で豆から煎れるなんてことはない。いつもインスタントだ。
「豆なんて」
そこまで言ってしまってから、口を噤んだ。イドが、眉を顰めたままだったからだ。イドは黙ったままで、フェイも黙ったままで、不思議な緊張がそこにあった。危うい均衡を崩したのは、イドのほうだった。
「ミルは?」
一瞬意味が分からず、遅れて理解する。コーヒーミル。コーヒー豆を粉にする器具だ。
しかし理解したと同時に、どうして、と思う。豆を、家で挽く? 理解できない。
答えなかったものの、フェイの表情で存在しないと分かったのだろう。イドは、「パーコレータは?」と訊いてきた。フェイは「パーコレーター?」と訊き返した。途端、「対処法なし」と言わんばかりの溜息を漏らし、イドは目を伏せた。
フェイはとても居心地が悪くて、どうしたらいいのか分からなかった。
イドと暮らすというのは、ずっと、永遠に、こういう事が続いていく事なのだろうかと思った。
一時の感傷に流されてしまった代償なのかと、気が重くなった。
「……灰皿、あるか?」
イドがそう言った時も、フェイは無言で使えそうな小皿を差し出した。
喫煙者のいないフェイの家には、灰皿なんて無かった。でも、それを伝えるのすら億劫だった。言葉が胸の奥で重たく沈んで、口まで登ってこなかった。
イドはまるで、コーヒーの口直しとでも言うように煙草を燻らせて、フーッ と息を吐いた。
煙草の先から立ち昇る紫煙が、ヒーターの方に吸い込まれていくのをボンヤリと眺めていると、イドがポツリと言った。
「叔父貴の家から、かっぱらって来よう」
なにを?
まだ言葉の重かったフェイが視線で問うと、イドは唇の端を持ち上げて見せた。フェイが初めて見た、イドの笑みだった。
「ミル。俺が、煎れてやる」
フェイは拍子抜けしてしまって、ポカンとしてしまった。何を言ってるんだろう。この人は、何を言ってるんだろう?
「だって。そんな、……叔父さん、困るんじゃないか?」
石化の呪文が解けたように、口が動いた。イドは笑顔の消えた顔で、「あぁ、そうだった」とでも言うように呟いた。
「いいんだよ。叔父貴は、あの家には居ない」
「……そう」
フェイはそれだけを言って、また言葉が重たくなるのを感じた。
イドがずっと叔父の世話になっていたというのは、イドの口から聞いた話。でも、それだけだ。
イドはひどく口が重くて、訊いた事になんて答えてくれない。自分から話す場合も断片的で、知りたい事なんか教えてくれない。
どこに住んでいるかも知れない叔父だが、その叔父が居ない(「居なくなった」のか、ただ単に「居ない」のか?)事すら、フェイは知らなかった。
自分が、ひどく落ち込んでいると分かっていた。
そんなフェイの様子を知ってか知らずか、イドは煙草を小皿に捻じ込むと、眉を顰め、カップに薄く残っていたコーヒーを煽った。
「いい匂いだから」
カップを床に置いて、溜息を吐くようにイドはそう言った。
なにが?
フェイは、また視線で問いた。
「家中、いい匂いになる」
そのイドの言葉に、イドがまだコーヒーの話をしているのだと気付いた。
「すごく、いい気分になる」
おおよそ「いい気分」とは程遠い表情と声色のイドがそう言っても、説得力には欠けていた。
でも、この後、イドが付け加えた言葉でフェイは、……あるいは、もしかしたら……、イドの煎れたコーヒーは、フェイを「いい気分」にしてくれるかも知れないと思った。
(オチ消失)
2002/01/09
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